日々、想う。んで、記す。

プライドを持たない、節操を持たない、愛着を持たない、弱音を吐かない。

おどろおどろしく歴史を教えたらどうか?

ここんとこ、井沢元彦の本を集中的に読んでいる。いや、ずっと興味はあったものの買うまでには至らず、たまたまオフィスにファンがいたので、著書を借りているので。井沢元彦『逆説の日本史(4) 中世鳴動編 ケガレ思想と差別の謎』井沢元彦『逆説の日本史(5) 中世動乱編 源氏勝利の奇跡の謎』を続けて読了。非常におもしろいです。
ケガレ思想のところでは、日本人にいまいち人気のない平安時代についての紹介。武士がそもそも血や死を扱う穢れた存在であった、というところなどハッと気づかされるところ多いです。「ケガレの差別」があった、という点は、以下のように説明されます。

  • 死を扱う職業は差別される。
  • 米を食べるときに「ここに米があるのは、農民のおかげである。感謝していただきなさい」というのは言われる。
  • ステーキを食べるときに、「自分に代わって牛を殺し皮を剥いで血を抜いて細かくカットしてくれた人々に感謝していただきなさい」とは言われない。

そして、

大多数の日本人にとって、そんなことは思ってもみなかったというのが正直な感想ではあるまいか。

うん、僕はそうだったよ。「はっ!」と思ったよ。そうか、これが「ケガレ」か。こうしてじわりじわりと知らないうちに、文化に絡めとられ、誰かに外側から指摘されなきゃわからないのだなあ、と感心。
そして、地元のお隣、鎌倉についての記述もたくさんある5巻では、奥州藤原三代や金色堂などについての記述がたくさん。源氏の将軍は三代であっけなく死に絶えて、その後どうして北条執権政治になったのか、っていうのは、日本史ではあっという間に「そういうものだ」として教わってしまうけど、裏側にあるドロドロした部分とか、もっと説明したら歴史好きな子って増えるんじゃないかなあ。サスペンスもののドラマやら映画にこんなにニーズがあるんだから、歴史サスペンスみたいな繰り広げられる愛憎劇をもっとビビッドに語られれば、歴史もおもしろいかも。そういう視点でも、この井沢元彦さんの本はおもしろいんじゃないかな、と。「歴史なんてつまんねーよ。暗記だろ?うぜー」とか言っている子が、この本を入口にして歴史に興味を持ってくれれば、それはそれで素晴らしいと思うのです。

逆説の日本史〈4〉中世鳴動編―ケガレ思想と差別の謎 (小学館文庫)

逆説の日本史〈4〉中世鳴動編―ケガレ思想と差別の謎 (小学館文庫)

逆説の日本史〈5〉中世動乱編 (小学館文庫)

逆説の日本史〈5〉中世動乱編 (小学館文庫)