日々、想う。んで、記す。

プライドを持たない、節操を持たない、愛着を持たない、弱音を吐かない。

息子に受けさせたいと思う授業

東京大学教養学部 編『高校生のための東大授業ライブ』を読了。図書館のジュニアコーナーからかり出してきた。東京大学教養学部がやっている、高校生のための金曜特別講座の様子を書籍化したもの。非常におもしろいと思った。進路を考えている高校1年〜2年生に受けてもらいたいかも。変に○○学とかを概説するようなのじゃなくて、とにかく先生が自分の研究しているテーマを語りまくる、というのでいいと思うのだよね。その方が届くのじゃないかな。アメリカと日本の高等教育のスタート時点での違いって、ここに大きく出ている、と聞いたことがある。日本では経済学概論、みたいな初歩の授業は若手がやる。アメリカではノーベル経済学賞を受賞しているような教授が経済学概論をやる、って*1。やっぱり、わくわく感とか「すげーな!」感が最初にこそ大事だと思うんだよねー。
情報学環安冨歩助教授(2005年当時)が、この本の中で、世の中で何か解決すべきことを見つけたときに、そのために仲間を見つけ、道筋を見つけ、ヒントを集め、成し遂げていくプロセスを、「人生のファンタジー化」と呼んでいます。以下、引用。

若いメンバーの1人が、「これってドラクエじゃないか」と言ったので、私はこれを「人生のファンタジー化」と呼んでいます。人間関係を張り巡らせて、おしゃべりを繰り広げながら、次から次へと接続を変えていく人生はスリリングでわくわくするものです。このファンタジー化の程度が人間の生活の豊かさを決める重要な要素だと思います。(略)
高校生の皆さんに強く申し上げたいのですが、こういったファンタジー化した人生に比べると、ゲーム機のファンタジーは退屈です。ごく普通の高校生があるとき自分のミッションに気づいて、突然とんでもない旅に出る、という設定はファンタジーによくあることですが、それは真実なのです。どの人の人生にもファンタジー化の契機が含まれています。自分自身のファンタジーの起点を見逃さないようにしてください。心の穢れを落とすように注意しましょう。そうすれば、ある日突然、すばらしい旅が始まります。(p.95)

こういうの、非常におもしろいと思う。いい考え方。リアルな人生で、ゲームよりもずっとおもしろいものを見つけちゃう、そんな経験をさせることが教育機関の大切な役割だと思うのです。そのために、ちょっとぶっ飛んじゃっている教授とかが、髪を振り乱して自分の好きなことをしゃべりまくるような、そんな機会が高校生にも開かれているのはいいことだな、と思った。今年の夏学期も開講しています。自分の息子に受けさせたいし、その前に自分で聴講に行こうかな、と思ってます。

高校生のための東大授業ライブ

高校生のための東大授業ライブ

*1:本当かどうかは確認が必要ですけどね