日々、想う。んで、記す。

プライドを持たない、節操を持たない、愛着を持たない、弱音を吐かない。

教育経済学に興味がある

ノルベルト・ヘーリング/オラフ・シュトルベック『人はお金だけでは動かない』を読了。経済学って、「人はすべて合理的に行動する」ことが前提になっているように思えるけれど、行動経済学みたいな新しい分野を考えると、実はそんなことはない、というのも取り入れてどんどん変わっていっているのだなあ、と思う。おもしろかった。
保育所に遅れてくる保護者向けに罰金制度を取り入れたら、遅刻者が増える話とかおもしろい。あと、信頼ゲームを使った実験もおもしろい。
失業と戦うには、問題のある環境にいる子どもたちのためにもっと手をつくさなければならない、という実験事例も紹介されていました。

あるアメリカの実験では、機能不全家族の未就学児を特別支援教育クラスに6ヶ月間通わせた。研究者たちはこの子どもたちの人生を数十年にわたって追跡し、プログラムに参加しなかった対照群との比較をおこなった。その結果、特別な配慮を受けた子どもたちのほうが高学歴を修め、高い所得を得、持ち家率が高く、生活保護を受けたり刑務所に入ったりする割合が低いことがわかった。この就学前プログラムの「社会収益率」は、なんと17%にものぼると算出された。つまり不利な状況にある子ども向けのこうしたプログラムに1ドル投資するごとに、政府や社会全体や子ども自身が年間で17セント余計に収入を得るか、17セント費用が減るのだ。5%未満の利率で借金をする政府にとって、この配当は悪くない。
生後4ヶ月から8歳までの下層階級の子ども向けの別の指導プロジェクトを継続して評価中の研究によれば、乳児期から開始されるプログラムはさらに効果が高いようだ。(p.68-69)

教育で社会は変えられるはずだ、と思っているけれど、国や地域や学校の予算を使うことを考えると、こうして数字でどういう結果が見込めて、それがきちんと実現できたのかを評価することが大事だよなあ。教育経済学というジャンルについても、しっかり勉強してみたくもあります。

人はお金だけでは動かない―経済学で学ぶビジネスと人生

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