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幸せな未来は「ゲーム」が創る

ジェイン・マクゴニガル『幸せな未来は「ゲーム」が創る』を読了。昨年中に読み終わっていましたが、仕事始めを前に、再読。ボードゲームを教具として学ぶカリキュラムを教えている立場として、「あるある!」と我が意を得たり!だったのは、以下の「ナヘツ」という概念。実におもしろいなあ。

1000人以上のゲーマーを対象とした最近の調査で、「ナヘツ(naches)」と呼ばれるあまり知られていない向社会的感情が、お気に入りのゲームをプレイして味わいたい感覚の上から8番目にランクインしていました。
「ナヘツ」とはイディッシュ語の単語で、自分が何かを教えたり、アドバイスしたりした相手が成功を収めたときに感じる誇らしい感情を意味する言葉です。驚きやフィエロ(快哉感)の次に味わいたい感覚としてランク付けされています。
(略)「ナヘツ」は、ゲーマーたちが特に自分がすでにマスターしたゲームをプレイしている他者に肩越しにアドバイスをしたり励ましたりしながら一緒にプレイするときに感じる、ある種の支援者の誇りをしばしば表現していることがわかりました。」
(Bateman, "Top Ten Videogame Emotions.") (p.127)

その他にも、いくつもおもしろいテーマがあるのですが、p.435で紹介されていた、「ワールド ウィズアウト オイル World Without Oil」という協働シミュレーションというゲームは、ものすごく示唆的だなあ、と思った。これはしっかりチェックして、他のカリキュラムにできないだろうか、とか、現代社会とか政経の授業でワークショップできないだろうか、とか考えた。

最初はプレイヤーの大多数が、石油資源の希少性が増したこの新しい環境で、石油をめぐるローカル・地域・国際レベルでの協奏がどのように展開するかを想像することに精力を集中しました。彼らは暗い想像力をめぐらせて最悪の結果ともっとも深刻な脅威を予想しました。ガソリン泥棒、暴動、食糧不足、横行する略奪、雇用の喪失、学校の閉鎖、さらには世界規模の軍事行動まで想像し、個人のレベルではストレスや不安や家族の危機のストーリーを描き出したのです。
でも、この傾向は二三週の間に大きく変わりました。ゲームが中盤にさしかかったころ、暗い想像力を使い果たしたプレイヤーたちは解決策に関心を向けて、最善のシナリオ展開を想像するようになったのです。石油消費量を減らすための新しい協力の仕方が生まれる、地域社会や近隣のインフラを大切にするようになる、短い通勤時間で通える職場を選ぶようになる、親類縁者が地理的に近いところに集まって暮らすようになる、新しいアメリカンドリーム――持続可能性、簡素な暮らし、より強い社会的つながりを軸に築かれる幸福――の追求にもっと時間を使うようになる、等々です。
ゲームは終末論に近い基調でスタートしましたが、慎重ではあるものの明らかに楽観的な予想で終わりました。最善のシナリオ展開は単なる可能性としてではなく――そしてもちろん必然としてではなく――そこに向けて努力する価値のある現実味のある未来像として語られました。(p.435)

ゲーム性を入れれば学びがUP!とかそういう簡単な話ではなくって、ゲームの周辺にある「楽しい!ついがんばっちゃう!」という想いを、社会を良くするために使おうよ、というのは大賛成。まだまだ、じっくり読み込める本だな、と思ってます。
以下、まだまだいいポイントはあるよ、的なメモも。【→メモ:幸せな未来は「ゲーム」が創る

幸せな未来は「ゲーム」が創る

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