そう、戦争なんて大赤字だ
司馬遼太郎『街道をゆく(5) モンゴル紀行』を読了。あんまり入り込んで読めなかったのだけど…モンゴルって国が遠すぎてね…。途中、ガイドのツェベックマさんとのやりとりが素敵だったので引用。
旅客を接待するのは国家の仕事です、モンゴル人の美質は、昔も今もお客好きなことです、と彼女*1はいった。
「しかし、どうも、赤字だな」
「アカジとは?」
彼女は、首をひねった。
「帳簿につける黒い数字と赤い数字」
「つまり、損?」
と、彼女は的確に反応した。そのあとすぐさま、
「そんなアカジ、ちっぽけじゃないですか、人類が戦争をしたりすることを思えば――」
話が大きくなった。なるほど、国家が戦争をしたりする大赤字を考えれば、外国から来る旅客をアカジでもてなしても、たかが知れている。(p.282-283)
まったくだ!その通り!こういうのをサラリと言えるのって、すごいよなあ。
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2008/09/05
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*1:ガイドしてくれているツェベックマさん