日々、想う。んで、記す。

プライドを持たない、節操を持たない、愛着を持たない、弱音を吐かない。

「ローマ人の物語」はパクス・ロマーナ

 塩野七生ローマ人の物語 VI パクス・ロマーナを読了。ローマはカエサルアウグストゥスの治世で領土を確定。「これ以上は治められない」というところで拡張を止めるところとか、すごいな。防衛線をしっかり決めて、そこを確実に押さえて、その後は内政重視。内政も元老院のシステムではもうコントロールできないと判断して、帝政に移行。カエサルはそれに反発されて暗殺されてしまったけど、ゆるやかに相手に花を持たせつつ、大事なところは自分の思い通りにしたアウグストゥスはすげー。
 ローマの社会を安定的に成長させていくための、いろいろな施策もブレがなくて、何だか羨ましくもあるなあ。例えば、徴兵についてのポリシーとかもそう。

ローマでは、紀元前二世紀末のガイウス・クラックスによる改革以来、社会的地位の如何にかかわらず、ということは執政官の息子であろうが無産者(プロレターリ)の息子であろうが、十七歳に達するまでは絶対に兵役に就かせてはならないと決まっていた。いかに国家存亡の危機にさらされていようと、将来のローマを背負う世代には、必要な教育を受けるに充分な期間は保証されねばならないというのが、国家ローマの方針であったからだ。ハンニバルに攻めこまれ十六年間も国内に居坐られていた時期でさえも、十七歳以下で徴兵されたローマ人はいなかった。
だがこれは、十七歳に達した後ならば、軍隊経験は誰にも開かれる、ということである。とくに、国家の要職を務めることで「共同体(レス・プブリカ)」に奉仕する人生の送り方が「名誉あるキャリア」と呼ばれ、その面での出世街道を歩むのが当然の選択と思われていた上層部に生まれた者にとっては、十七歳を迎えて以後の軍隊経験は不可欠な条件とされていたのである。(p.307)

 ローマ帝国の版図はイタリア半島から、北はガリア(フランス)まであるし、西はスペインまで、北はアフリカ(カルタゴとかエジプトとかね)、東はオリエントに接しているわけで、なんであの海が「地中海」と呼ばれるのかがよくわかるくらい、地中海をどまんなかに沿岸をぐるりと囲んでいるのねえ…

ローマ人の物語 (6) パクス・ロマーナ

ローマ人の物語 (6) パクス・ロマーナ