日々、想う。んで、記す。

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「Same Love」の歌詞をじっくり読んで考えたい

 TBSラジオ荻上チキSession22』のPodcastで、高橋芳朗さんがグラミー賞について話をしていました。おもしろいなあ、と思って。
高橋芳朗が語るグラミー賞2014の傾向『同性愛者支援作品が評価される』
 パフォーマンスもものすごくよかった、と言っていたけれど、なかでも興味をもったのは、Macklemore&Ryan Lewis「Same Love」の歌詞も紹介されていて、いろいろと考えさせられた。

高橋芳朗)そうですね。はい。で、ちょっとじゃあSame Loveの歌詞を要約して紹介したいと思います。タイトルは、『不安や恐れを取り除けば、そこには同じ愛、Same Loveがあるよ』っていうことなんですけど。マックルモア、非常にどういうスタンスで歌詞を書けばいいのか?ものすごく悩んだらしいんですが。内容を見ると非常に誠実な内容になっているなという印象になっています。


荻上チキ)正面からね、描いている歌詞という。


高橋芳朗)まず彼はですね、曲の冒頭で、自分も子供の頃に同性愛者に偏見があったことを打ち明けてるんですね。こういう内容になってるんですけど、『小学生の時、俺は自分がゲイだと思っていた。絵を上手に描けたし、部屋もキレイに片付けていたし』って。これ、同性愛者のステレオタイプなんですけど。『身なりをきちんとしている』って。あと、『何よりも、おじさんがゲイだったから。母親に涙ながら、「僕はゲイなのかな?」って訴えたら、「あんた、幼稚園の時から女好きだったじゃない」って言われて、自分が考え過ぎで先入観に囚われていたことに気がついた』。


荻上・南部)うん。


高橋芳朗)まあ、ちょっとユーモラスな導入なんですが。その後は結構容赦無くてですね。まず、アメリカ社会に向けてこんなことをラップしています。『同性愛は生まれつきのものなのに、保守派の人々はそれが彼ら個人の性格によるもので、治療すれば治ると思っている。”勇敢なアメリカ”なんて言うくせに、自分たちが理解できないものや未知なものをいまだに恐れてるんだ。神様は誰にでも分け隔てなく愛を与えてくれるはずなのに、3500年前に書かれたあの本(旧約聖書)を自分たちの都合のいいように言いかえている』と。


(南部広美)うん。


高橋芳朗)さらに、これ結構勇気がいったと思うんですけど、マックルモアはHIPHOPカルチャーに向けても。HIPHOPカルチャーのホモフォビアにも言及しててですね。『もし俺がゲイだったら、HIPHOPに嫌われてただろう。YouTubeのコメント欄には毎日のように「なんだよ、ゲイみてーだな」なんて書き込まれる』。『HIPHOPは抑圧から生まれた文化なはずなのに、俺たちは同性愛者を受け入れようとしない。みんなは相手を罵倒する時に”ホモ野郎(Fagot)”なんて言うけど、HIPHOPの世界ではそんな最低な言葉を使っても、誰も気に留めやしない』。


(南部広美)うーん・・・


高橋芳朗)これは結構。かなり勇気がいることだと思います。


荻上チキ)多くの人がね、モヤモヤしていた部分ですね。


高橋芳朗)そうですね。そして曲はさらにこういう風に続いていくんですが。『俺はゲイじゃないかもしれないが、そんなことは重要じゃない。全ての人々が平等にならない限り、自由はないんだ。俺は全面的に支持するぜ』と。さらに、『同性婚が認められたところで何もかもが解決したわけじゃない。でもこれは出だしとしては上々だ。法律で俺たちは変わらない。俺たち自身が変わっていかないといけないんだ』と。


(南部広美)クールだ・・・


高橋芳朗)そうですね。ちょっと全文紹介したいぐらい、本当に素晴らしい歌詞なんですけど。


荻上チキ)まあ、名演説というのが似合うような歌詞ですね。

 と、気になってYouTubeで聴いてみた。リリックが見られるもので見ても、早いのでざーっと過ぎていっちゃう。調べてみたら、町山智浩さんも歌詞の英訳をしてくれていました。じっくり読んでみたい。


Macklemore - Same Love (Lyrics + Official Music ...

Same Love (feat. Mary Lambert)

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