オープンエデュケーションと知の革命、教育のICT化
梅田望夫・飯吉透『ウェブで学ぶ オープンエデュケーションと知の革命』を読了。教育のICT化については、いろいろなシステムを見て、いろいろなコンテンツを見て、勉強していかなくてはな、と思っています。
ウェブで学ぶ ――オープンエデュケーションと知の革命 (ちくま新書)
- 作者: 梅田望夫,飯吉透
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2010/09/08
- メディア: 新書
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僕はICTを使って学ぶことには基本的に賛成。ただ、教室での先生たちの仕事をあまりに劇的に変化させるのには反対。一気に100点満点を狙わないで、現状の点数をまずはきちんと出して、そこから5点でも10点でも上げられる施策としてICTを使えそうなところにまずは重点的に利活用すべきだと思っています。
で、「この部分で活用します。その狙いは○○です」としっかり明言して使ってほしいと思います。そうでないと、全然意図していないところで減点されちゃって、全体を否定されちゃうかもしれないので。
そんな観点から読んでみました。バタフライ・ディフェクト、って言葉は知らなかったです。勉強になる。これ、恐れられていることのひとつですよね。↓
たとえば、「あるボタンを押すと今の自分にとって必要な教育的なコンテンツしか出てこない」というようなフィルターがかかればいいのかもしれませんが、ウェブだといつのまにか、自分が勉強しようと思っていたこととは違う、全然関係ないことに辿りついてしまい、そのまま流されていってしまうということがよくあります。こんな現象を、イスラエルの教育メディア学者ガブリエル・サロモンは、「バタフライ・ディフェクト」と呼びました。つまりウェブのようなメディアだと、誰もがフラフラと飛び回ってしまうだけで、落ち着いて深い思考や学びができなくなる危険性がある。(p.185-186)
その他、アメリカを中心に動いているさまざまなオープンエデュケーションの試みについてもメモ。さらっとしか見ていないけれど、じっくりこれから研究したい。
- Open Learning Initiative | Open Learning Initiative(OLI, 米・カーネギーメロン大学)(p.63)
- STEMの基礎をやってみた。テキスト中心で学ぶ感じだろうか?ところどころ、短めの動画がある。動画は長いとダメだね。集中が切れる。
- OpenStax・旧Connexions(米・ライス大学)(p.146)
- カリキュラムを作る、っていう意味では、これがいちばん好きかも。ただ、「シェアして作っていく」という文化がないと、workしないかな、とも思う。
- KEEP Toolkit(p.191)
- 教材を作るためのツール。写真やビデオも簡単に使える、というような感じだったけれど、これでもUI/UXは先生たちにはだいぶ難しくないか…?と思う。
- MOST - 京都大学高等教育研究開発推進センター - 大学教員教育研修のための相互研修型FD拠点形成(p.234)
アメリカでやっているから、これを是非導入!とは全然思ってません。日本の教育現場にあう形で、入れていくことが大事だと思うので。今年から来年にかけては、このあたりの仕事が増えてきそうです。がんばります。(そして、だんだんやりたいことから離れていく…)