読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

日々、想う。んで、記す。

プライドを持たない、節操を持たない、愛着を持たない、弱音を吐かない。

『帰ってきたヒトラー (下)』を(ようやく)読了

book

 ティメール・ヴェルメシュ『帰ってきたヒトラー (下)』を読了。上巻を読み終わってからずいぶん経ってしまったけれど…。いや、とてもおもしろかったです。フィクションでコメディだけど、いろいろと考えさせられる、というか。

帰ってきたヒトラー 下

帰ってきたヒトラー 下


『帰ってきたヒトラー』、おもしろい!(まだ上巻のみ) - 日々、想う。んで、記す。

 訳者あとがきがとてもよかったので、引用。

ヒトラー礼賛が禁止されているなか、この本が出版可能になったのは、ヒトラーを戯画化した風刺小説だからだ。とはいえ、「政治的にあまりにナイーヴ」と評した<南ドイツ新聞>をはじめ、批判ももちろんあった。とりわけ問題視されたのは、ヒトラーが悪者としてではなく人間的な、あえて言えば魅力ある人物として描かれている点だろう。だがこれは、著者ティムール・ヴェルメシュがまさにこの小説で狙ったことだ。ヴェルメシュは、<南ドイツ新聞>のインタビューで次のように語っている。
ヒトラーに関するこれまでの説明やアプローチや視点はどれもみな同じだった。そして人々の多くは自分の精神衛生のため、彼を一種の怪物として解釈してきた。(中略)だがそこには、人間アドルフ・ヒトラーに人を引きつける力があきらかにあったという視点がかけている。(中略)人々は、気の狂った男を選んだりしない。人々は、自分にとって魅力的に見えたりすばらしいと思えたりする人物をこそ選ぶはずだ」
ヒトラーを怪物に仕立てるだけでは、なぜあのような恐るべき出来事が起きたのかの真の理由はわからない、というのがヴェルメシュの見方だ。だから彼はヒトラーを人間的に、魅力的に描く。それは非常に成功していて、読者は著者の目論見どおり物語のヒトラーに共感し、ヒトラーとともに笑い、そしてふと我に返って当惑する。私がまさにそうだった。これはたしかに、危険すれすれの手法かもしれない。(p.255-256)

 エンターテインメントのふりをして(笑)、深刻にいろいろと考えさせるという手法、大好きなのです。おすすめ。

広告を非表示にする