須賀しのぶ『革命前夜』がおもしろかった!
須賀しのぶ『革命前夜』を読了。音楽留学物。主人公の留学先は東ドイツ。東欧革命、ベルリンの壁崩壊の直前。おもしろかった。ドレスデンやライプツィヒには行ったことがないし、東ドイツの感じはまったくわからないけれど、それでもおもしろい。生きていくのがつらい国家だったけれど、西に行けばそれで済むかと言えばそうでもない、というあたり、リアルだと思う。いまでも同じような状況の国々はたくさんあるだろうなあ。進むもつらく、戻るもつらい、みたいな。それと、音楽の才能とか生き方とか、いろいろ考えさせられるテーマです。才能があって、その道を行くのもまた、同じように、進むもつらく、戻るもつらい、という感じだろうなあ。
誰も悪いイメージなまま終わるキャラクターがいないのが、いい。こういう物語が好きだ。クラシックの曲名では全然わからないので、知っていればもっと楽しめたかな、と思う。
- 作者: 須賀しのぶ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/03/27
- メディア: 単行本
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作者の須賀しのぶさんのインタビューを見つけた。ライトノベル→歴史小説というキャリアなのですね。他の作品も読んでみたい!ドイツの歴史…全然知らないものなあ。読んでみたい。
実は須賀さんがいちばん書きたいのは、第一次世界大戦後のワイマール共和国だとか。
「あそこからナチスになだれこむまでの流れが混沌としていて非常に面白いんです。トーマス・マンの小説にも通じますが、ドイツというのはロマンチシズムと合理性という極端なものがより合わさっているように思う。それがいちばん顕著に出ているのがナチズムで、あの爆発力はドイツでは宗教改革に次ぐくらいじゃないかと思います。ただ、ナチスならまだしも、さすがにワイマールとなると興味のある日本人読者は少ないかも……(苦笑)」