日々、想う。んで、記す。

プライドを持たない、節操を持たない、愛着を持たない、弱音を吐かない。

辻村深月『かがみの孤城』、とてもよかった

 辻村深月『かがみの孤城』を読了。「一気読み、二度読み、感涙必死」って書いてあったので、楽しみに読んだのですが、通勤電車の中だけであっという間に終了。たしかにこれは、一気読みしました。鳥肌がゾワゾワって立ちました。

かがみの孤城

かがみの孤城

 こういう、見知らぬ子たちが鏡の中に引っ張り込まれて一緒に時間を過ごす、みたいな荒唐無稽な設定を書かせたら、本当に辻村深月さん、上手だなあ…(褒めてる)。なんか、『冷たい校舎の時は止まる』を思い出しました。

 辻村さんの小説、意地悪されるシーンとかがだいたい出てきて、そういうシーンが本当にしんどいのです…。で、「ああ、自分の息子がこんなふうに友達に接せられたらいやだなあ」と思うシーンも出てくるんだけど、そこを通り抜けるととってもいい感じのハッピーエンドがやってくるのです。それが本当に気持ちいい。登場人物がどんどん変わっていくのも好き。
 この『かがみの孤城』のエンディングも、とても好きです。なんか、がんばろうって気になる。

 学校に行けていない子たちが主人公で、学校に行けない理由がいろいろと出てきますが、登場人物の一人が言う、「たかが学校」という言葉は、本当にそのとおりだと思う。学校が素晴らしい場所であってほしいとは思っているし、学校には学校にしかできない役割もあると思っているけれど、100点満点なはずはなく、合わない子は行かなくてもいい、「たかが学校だ」であっていいと思う。

 辻村さんのインタビューも、ポプラ社のサイトで読めます。
www.poplar.co.jp

もしタイムマシンが開発されて、自分の本を何か一冊昔の自分に送れるとしたら、私は『かがみの孤城』を選びます。 きっと当時の私が「この本を書いた作者のことを尊敬する」って言ってくれるような作品になったんじゃないかなと思っています。

 こんなこと言える仕事ができたことは、本当に幸せなことですよね…。がんばろ、という気持ちになります。

 借りた本だけど、手元に持とうかなあ…。Kindleで持っておきたいかなあ。