日々、想う。んで、記す。

プライドを持たない、節操を持たない、愛着を持たない、弱音を吐かない。

横に展開していく教育改革

金子郁容『日本で「一番いい」学校―地域連携のイノベーション』を読了。杉並区の話、三鷹市のコミュニティスクールの話、京都の教育改革の話などなど、とっても興味深かった。教育はサービス業だと思っているけど、でも普通の商品とは違うものね。ただ、地域でみんなでいい教育環境を作っていく、というのは大事だと思うのです。地域の教育環境って、公共財だと思うので。

教育は一般商品やサービスとは違って、通常の市場競争を通じてよくなるものではない。しかし、公立学校は「お客が来ることが決まっているまずいラーメン屋」になり、「学級王国」や「情報ブラックホール」になる傾向がある。それらの問題は、何もせずに放っておけば自然に改善されるということはない。完全なものでなくても現状の把握を行って、他と比較し学校内外で情報を共有することで、ある種の「競争」、でないとしたら、ある種の緊張感が生まれる環境を意識的に作り出すことが必要だ。(p.125)

京都市の教育改革のところで紹介されてた、「教員FA制度」っていうのもすごいな。こういう、「腕に覚えあり」な先生が、新しい教育スタイルを作りたい、という志をもった学校に集まれる制度があるのはいいなと思います。京都市の元教育委員長である、門川大作・現京都市長の考えにとっても同意。曰く、

「ひとつの学校でうまく行けば、他のすべての学校でもうまくゆく」という原則に基づいて、「いい学校」を全市に広げる。これが門川の基本的な戦略のひとつだ。「放っておいたら広がらない」と門川は言う。そこには計画と具体的な方法論がないといけないというのだ。(略)すべての学校を形だけ平等に扱うのではなく、「ここぞ」と目をつけた学校に力を注ぐ。しかし、それは「勝ち組、負け組を作る」ためではなく、逆に、すべての学校が「いい学校」になれるというムーブメントを作るためである。モデル校で、移植可能な「プログラム」を作り、目に見える形で成果を出し、それを他の学校に広めるのである。(p.197)

そうそう、その通りです。移植可能な「プログラム」がどんどん増えていけばいいと思うのです。そうでなくては、社会全体が良くならないから!良い教育を受けたことのある子どもたち/大人たちが増えること自体が、次の教育環境を良くするためには絶対に必要です。【→メモ:日本で「一番いい」学校

日本で「一番いい」学校―地域連携のイノベーション

日本で「一番いい」学校―地域連携のイノベーション