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カブーム!100万人が熱狂したコミュニティ再生プロジェクト

以前からずっと気になっていた、ダレル・ハモンド『カブーム!100万人が熱狂したコミュニティ再生プロジェクト』を読了。

カブーム!――100万人が熱狂したコミュニティ再生プロジェクト

カブーム!――100万人が熱狂したコミュニティ再生プロジェクト


コミュニティに遊び場、公園を作っていくという活動をしています。「遊び」「プレイフル」というところのキーワードを探っていけば、必ず出てくる存在ですね。
「遊び」がどんなふうな役に立つのか、という研究はどんどん進んでいるし、NPO団体ができたりとかもしているのですが、この本の中では「遊びは子どもの仕事だ」ということについて触れています。

ひとつの仮説は、子供たちは遊びを通して世界について学び、その中に自分の役割を見つける準備をする、というものです。19世紀のドイツ人教育者、フレデリック・フローベルは、現在もこの分野でもっとも影響力のある思想家ですが、彼はこう表現しています。「遊びは子供の仕事だ」と。そうやって、子供たちは大人になる準備をするのです。」
人類がこの地球上に存在してきた年月の大半は、学校も、標準テストも、組織的な教育も、教室も、大学受験の予備校もありませんでした。印刷された書籍でさえ、比較的最近になって発明されたもので、およそ600年しか存在しておらず、20万年という人類の歴史には及ぶべくもありません。その歴史のほとんどの間、子供たちは遊びを通して社会の働きを学んできました。
男の子が棒切れを拾ってやりに見立てるのは、ハンターへの第一歩でした。今の子供たちは、積み木を耳に当てて携帯電話のふりをしますが、それも同じです。子供たちは、世界の中でどう生きるかを学ぶために、大人のやることを真似ているのです。
あらゆる遊びについて同じことが言えます――子供の遊びは、失敗してもそれほど害のない、人生の予行演習なのです。若い動物の遊びが、成長後の行動と関係しているように、子供にとって、遊びは現実を試してみること、つまりセーフティーネットに守られながら世界を探求する方法です。それが、広い意味で、男の子と女の子の遊び方が違う理由ともいえるでしょう。もちろん例外はたくさんありますが、一般的に男の子は転げまわったり取っ組みあったり、ボールやほかの道具で遊んだりします――祖先が狩猟に使った技術を練習しているのです。反対に、女の子は言語や儀式を通して人と関わる、より社会的な遊びをします。(p.166-167)

そう、遊びを通じて社会の働きを学ぶ、という形を作りたいなあ、と思います。社会の中で使うスキルを、遊びの中、ゲームの中で養うように、ということに興味があります。

遊び方を通して、子供たちは危険を経験し、身体動作の及ぼす影響を知ります。遊びの中で身体的な限界を試しながら(ブランコをもっと高く!メリーゴーランドをもっと速く!)、危険を知り、行動が招く結果を自覚するのです。大人になれば、さまざまな種類のリスクが存在します――健康、お金、感情。私たちは、当然ながら、子供たちをこうしたリスクから守ろうとしますが、必要以上に危険を和らげたり、取り除いたりしている場合もあるようです。ですが、危険な状況にうまく対処することによって、子供たちは学びます。経験から、どういうときに怪我をするのか覚えるのです。「雲梯の次の棒に手が届けば安全だけど、届かなければ落ちてしまう。」
実際、落ちることが発達過程の一部だとも言えます。傷ついてはじめて、回復力が生まれ、気持ちを立て直してまた挑戦することを学ぶのです(二度とやらないというのではなく)。過度に用心深い親なら、子供が膝をすりむかないように、またちょっとした怪我や不自由がないように、目を配るかもしれません。ですが、その子供は大人になったとき壁にぶつかるはずです。大人になれば、もっと大きなものに立ち向かわなければならず、粘り強さがなにより大切になるからです。(p.169-170)

実のところ、遊びの学習効果の一番に挙げられるのは、社交性です。こんなフレーズのついたTシャツを見たことがありませんか?「お友達と仲良く遊びましょう」。皮肉はさておき、これは大人になると、とても重要なことです。人間は、社会的な生き物です。子供たちがこれをはじめて自覚するのが、遊び場です。ここで、協力することや競争することを学び、共有し、順番に従い、間違った振る舞いをしたらどうなるのかを学びます。身を持って衝突を経験し、紛争を解決するのです。順番を守り、公平に遊ぶことを練習し、そうしないときの結果に直面するのです。
こうしたことの大半は、もしかすると、両親や先生やほかの大人が教えてくれることなのかもしれません。ですが、子供が自分でそれを見つけた方が、教訓が長く残りますし、遊び場の掟は、こうした人付き合いの教訓を繰り返し自覚させてくれます。(p.172)

それから、カブームでの採用の5つの基準というのが書かれていました。(p.302-303)

  • 「できる」…その人はその仕事ができますか?つまり、能力とスキルをもっていますか?
  • 「やる」…必要なことを、必要なときにやる人間でしょうか?
  • 「チームとの相性」…とことん楽しむカブームの文化に合うでしょうか?カブームは多様な人々の集まりです。結果を出すために、全員が集中して頭を低くして働き、また顔を上げて楽しみます。
  • 「超賢い」…その人には知恵とやる気がありますか?自分が善いことをしているかどうかがわかる能力と、自分を鞭打って行動に駆り立てる能力がありますか?
  • 「超速い」…その人は、選挙戦のような環境の中で働く心構えと原動力がありますか?カブームのスタッフは、明確な目標に向けて必死に努力し、フィードバックをすぐに集めて成功かどうかを判断し、次にどこを変えたらいいかを探し出し、それを記録に残し、次に移ります。

それからブーマリズムという、過ブームのスタッフの仕事の基礎となる哲学も勉強になります。自戒の念も込めて写経(笑)スタッフにどんな空気を作るのか、って本当に大事なことだと思うのです。(p.380-383)

  • 結果と同じくらい、プロセスが重要
  • 後悔しない
  • 周囲を責めず、自分を高める
  • 多くを約束せず、言った以上のことを成し遂げる
  • 最高のものが求められるとき、平均点で満足しない
  • 名前を挙げて、褒めるべき人を褒める
  • いつもの仕事を、いつもとは違うやり方で行う
  • 良いアイデアも実行しなければ意味がない
  • 火を起こすには、火花が一度散ればいい
  • 練習は完璧を生まない。完璧な練習が完璧を生む
  • 自分の能力を出し切らないとき、それを失敗という。だれかが自分よあり成果をあげたとき、競争に敗れたことになる。
  • 論理と事実を使って相手を説得し、ストーリーを語ってやる気にさせる

以下、もろもろのこともメモ。【→メモ:カブーム!100万人が熱狂したコミュニティ再生プロジェクト