日々、想う。んで、記す。

プライドを持たない、節操を持たない、愛着を持たない、弱音を吐かない。

ボードゲームを教育に使う(『学校を変えれば日本は変わる 強い国・日本は公立改革で生み出す』より)

中原徹・伊藤大貴『学校を変えれば日本は変わる 強い国・日本は公立改革で生み出す』を読了。さまざまな教育問題について、大阪府教育長に就任された中原徹さんと、元ジャーナリストで横浜市議の伊藤大貴さんが語り合うスタイルの本。おもしろい。最新トピックもたくさん入っているので、おもしろい。

学校を変えれば日本は変わる  強い国・日本は公立改革で生み出す

学校を変えれば日本は変わる 強い国・日本は公立改革で生み出す

p.165-167のところで、僕が仕事で進めている、ボードゲームの教育利用について少し触れられていたので、抜粋。新しいチャレンジをこうして「いいね!」といってくださる方がいるのはとても心強いです。ぜったいうまくいかせてやる~、という決意が湧いてくる。応援してくれる人がいるのだから。学校にどうやって導入していくのか、誰がリスクを取り、誰がベネフィットを受けるのか、誰にどんな情報を届ければいいのか、教えを乞いたい、と思いました。

伊藤 学校運営協議会のような、地域の意見が反映される仕組みが必要だと思うのは、こういう話があるからです。
 ヨーロッパではボードゲームが教育に取り入れられています。ボードゲームには駆け引き、交渉やプレゼンなどさまざまな要素があるということで、幼稚園向けから年齢に応じて教育カリキュラムが開発されている。民間企業でもチームで製品を開発するプロセスを見直そうとするなかで、ボードゲームを取り入れているらしいです。
 詳しい方に話を聞くと、どうやら日本の私立小中学校も一部で導入を始めているようなのです。基礎学力と合わせて自分の頭で考えて表現する力を身につける、その一つの手法としてボードゲームがいいと言うんですよ。

中原 どういったゲームなんでしょう。モノポリーや人生ゲームみたいな?

伊藤 それらはヨーロッパで言うと、もう30年前のゲームらしいです。日本はテレビゲーム市場が大き過ぎて、ボードゲーム市場がなかなか成長していないみたいで、世界から遅れているそうですよ。教育効果も高いのに。
 たとえば人気の高いものに、小学校低学年向けの「ラッシュアワー」というゲームがあります。これは駐車場から自分の車を脱出させるパズルゲームなんですが、自分の車と出口までの間にいくつもの別の車が停まっていて、それを動かさないと脱出できないというゲーム。子どもに論理的思考を教えるんですね。見た目のかわいさも手伝って、意外にこういうゲームは子どもがハマるんです。このゲームの存在を知ってわが家でも購入しましたが、面白がってやっていますよ。

中原 教育にゲームを取り入れるという発想はなかったですね。

伊藤 このゲームのよさは親子の会話がゲーム攻略のポイントになっている点です。この赤い車を動かしたいときにどの車が邪魔をしている? この場合は黄色の車だよね、でも黄色はすぐには動かない、なぜだと思う? というふうに。何が積み重なって現状があるのか、何を解決するとどの車が動くのか。 まさに論理的思考です。
 ラッシュアワーは小学校低学年向けのゲームですが、世界のボードゲームには、中学生向け、大人向けのゲームもある。とにかく種類が豊富です。 これらの教育効果が非常に高いということで、ボードゲームを使用する私立学校が少しずつ出始めています。で、彼らに聞くと「本当は公立学校でやれたら面白い」と言うんですよ。
 このボードゲームは一つの例ですが、現実には、今の仕組みだとこういった新しい試みをするのが難しいんです。学習指導要領の定めに従うなら、総合学習の時間にやるしかないですから。
 では総合学習でやるにはどうしたらいいかというと、誰かが校長先生を個別で口説くか、もしくは学校運営協議会の中で保護者から意見してもらう。このどちらかしかないんです。僕個人の考えですが、議員が校長先生を説得するよりは、地域の人にこうしたボードゲームのような存在を知ってもらってそこから実現していくほうが、あるべき姿だと思います。

あと、君が代斉唱の問題とかの裏側も語られていますが、本当にひどい話…。もうほんとにさ、ちゃんと組織として動きなよ、って感じです。
教育委員会とか行政とか学校とかって、みんな個別にはすごくがんばっているのに、ちょっとずつずれてて、ボタンが掛け違ってて、みんな負けの位置にいる、って感じがしています。それをうまく調整できるのは、やっぱり外から来た人だったりするのかな、とは思います。
中原さんが取り組む大阪の教育行政、伊藤さんが議会の立場から取り組む横浜の教育行政、どちらもとても楽しみです。