『コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする』を読んだ
こないだ、M本さんが「これ、おもしろいんすよ!」と大笑いしながら貸してくれた、カレン・フェラン『コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする』を読了。
帯が、
「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」
マッキンゼー、デロイト……コンサルの持ち込む理論もチャートも改革も、じつは何の意味もなかった――。気鋭のコンサルが内幕を暴露した全米騒然の問題作!
- 作者: カレン・フェラン,神崎朗子
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2014/03/26
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (7件) を見る
結局、システムや数字を優先していろいろなことを導入して、結果、直接の「人」を評価することができなくなるぞ、という話が多く例として出てくる。例えば、人事評価の話。たしかになあ…と思うよね。
最悪なのは、評価スコアのせいで、上司と部下で本当に意味のある会話ができなくなってしまうことだ。部下が何よりも知りたいのは評価スコアで、そのまえに何を言われようとほとんど耳に入ってこない。評価が気になるあまり、どうやったら一緒にもっとよい仕事ができるか、という実のある話ができなくなってしまうのだ。
そして残念ながら、ほとんどの社員は評価スコアを聞いてがっかりする。このシステムでは社員の業績分布を釣鐘曲線に当てはめて業績の高い者と低い者を割り出すため、大部分の社員は平均ランクということになる。
これは私たちの自己評価とは大ちがいだ。私たちは誰でも、自分は平均より上だと思っている。これは裏付けのある認知バイアスで、「平均以上効果」「寛大化傾向」「優越バイアス」「レイク・ウォビゴン効果」などと呼ばれている。(p.158-159)
それから、リーダー用教材が山のように作られている、という話も。僕は自分がリーダーっぽいと全然思っていないので、どんな教材があるのかが妙に気になる。ひとつのタイプだけで勉強しようとはまったく思わないのだけど、いいところをポイントごとに取り入れていたいなあと自分では思っている。
教材はいくつも出ているけれど、まあまとめるとそう多くはなくて、リーダーのタイプはだいたい以下のもの、というのもメモ。
手取り足取りのリーダー用教材
- ケン・ブランチャード「状況対応型リーダーシップII(SLII理論)」
- 「指示型」「コーチ型」「援助型」「委任型」の4つのマネジメントスタイルがある
- ダニエル・ゴールマン=共感のコンセプトに基づいている。
- 「ビジョン型」「コーチ型」「仲よし型」「調整型」「実力型」「指示命令型」
などなど…(p.174-177)
その集大成的なところで、Googleの「優れたマネージャーの8つの習慣」もおもしろかったのでメモ。
Googleによる「優れたマネージャーの8つの習慣」
- 優れたコーチであること。
- ある程度はチームのメンバーに任せ、細かく管理しないこと。
- 部下の成功と幸せを気にかけていることを態度で示すこと。
- 生産的で成果志向であること。
- コミュニケーションをよく取り、チームの意見に耳を傾けること。
- 部下のキャリア開発を支援すること。
- チームのための明確なビジョンと戦略を持っていること。
- チームにアドバイスできる重要な技術的スキルを持っていること。
↓
「この新しいモデルはメディアの賛否両論を呼んだ。少なくともこの50年間、マネジメントの原則の基本として信奉されてきた黄金率となにも変わらないではないか。マネジメントに関する基本的な本や研修に参加したことのある人なら、そう思うかもしれない。そうは言っても、ほかのモデルに比べてずっとシンプルだし、重要な順番に原則が示され、裏付けとなるデータも揃っている」(p.178-179)
なるほどなあ、と。あるべきリーダー論とかも、コンサルが無理矢理に持ち込んできているものだったりする、ということなのかな。まあ、そんなにひどい事例ばかりではないんじゃないの?と一応、コンサル仕事をしているので、僕は反論したくもあるけれど。でも、数字やシステム優先になるとたしかにそれは違うよね。クライアントが主役なので、そのルールに合わせる、というのは基本的に守るようにしている。で、そのなかで、「でもこれは言ってあげなければ!」っていうのを、どう上手に伝えるか、というところだろうな。特にコンサルに入ってすぐの会社は、まずは関係を作ってから…と思うので、どのへんから自分を出していくか、が難しい。