「花燃ゆ」と『世に棲む日日』を並行進行
司馬遼太郎『世に棲む日日(三)』を読了。奇兵隊発足のあたり。ちょうど「花燃ゆ」の進度に近いので、文字を読みながらも、僕の脳内でのビジュアルは、高杉晋作が高良健吾な感じだ…。しかし、高杉晋作、狂っていなくてかっこいいなあ。ものすごく現実的なのが。「久坂玄瑞の攘夷は思想。高杉晋作の攘夷は戦略」というような描写があったけれど、なるほどなあ、と思う。
馬関戦争の講和を進めるためにロンドンから帰ってきた井上聞多が、君前会議で敗れたときの描写が、「ああ、本当にいまもこのままだな…」と思わされるものでした。(p.166)
井上らは、やぶれた。
次いでこの藩の藩主と重臣たちがとった手段は、その後の日本において繰りかえしおこなわれるようになった事柄にきわめて似ていた。藩主以下重臣たちは井上のいうことがよくわかっていながら、三十日には、
「攘夷をあくまで断行する。決戦の覚悟肝要なるべき事」
という大布告が発せられた。発した政治の当務者はこの大布告の内容をもはや信じてはいない。しかしこれを出さねば、井上帰国によっておこった藩内の疑惑と動揺と沸騰がしずまらないのである。国際環境よりもむしろ国内環境の調整のほうが、日本人統御にとって必要であった。このことはその七十七年後、世界を相手の大戦争をはじめたときのそれとそっくりの情況であった。これが政治的緊張期の日本人集団の自然律のようなものであるとすれば、今後もおこるであろう。
ちょうど、女台場の建設するところが「花燃ゆ」で出てきていた。萩、旅行で行きたいなあ。小学生か中学生くらいの時に家族で行っているけど、その頃は「長州」とかまったくわかっていなかったものなあ。
奇兵隊の総督から政務役に高杉晋作がなったり、タイムリーに読めて楽しかった。「花燃ゆ」と『世に棲む日日』、けっこう高杉晋作の描き方は違う。久坂玄瑞の描き方もだいぶ違う。司馬さんはものすごく淡々と久坂を描くなあ。www.hagishi.com
- 作者: 司馬遼太郎
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