日々、想う。んで、記す。

プライドを持たない、節操を持たない、愛着を持たない、弱音を吐かない。

鶴見俊輔さん&小熊英二さん

鶴見俊輔・上野千鶴子・小熊英二『戦争が遺したもの』を読了。
古今東西、哲学者というか思想家の中では、鶴見俊輔さんがいちばん好きです。これは大学生の頃に暇な時間が山ほどあって、いろんな思想家の本を読んで、いちばんピンと来たから*1プラグマティズムをアメリカから日本に紹介した人ですけど、それだけじゃない感じがして、漫画でも何でも読んでみる、なんていうか何にもカテゴライズされないで雑食な感じがまずいい。それから、行動するところがいい。部屋でぐちゃぐちゃ考えているだけじゃなくて、べ平連とかやったり、『思想の科学』を発刊したり。もちろん、とんちんかんなところとかもあるんだろうけど、それはもがいて動いて…としていたら仕方のないことだと思うから。
その鶴見俊輔さんに話を聞く小熊英二さん*2も好きな書き手さんです。これは読まなきゃ、ということで。
本の中で、領土なきパトリオティズム、という話が出てきた。


私は、マスとしての国家とか世代には、期待しないんだ。私が自分でずっと持っているパトリオティズムの対象は、もっと小さいものなんだよ。それは日本にかぎらず、世界中にそういう場があるんだ。
たとえば留学時代の私を泊めてくれたアメリカの家庭だよね。私はアメリカの国家には批判的だけれど、彼らへのパトリオティズムがあるんだよ。そういう場が、世界中にポツン、ポツンとあるわっけだ。それは領土っていうのとは、あまり関係ないよね。

これ、すごくそう思う。国に対する気持ちと、そこに住んでいる人たちに対する気持ちは別物だと思う。マスとしての国家とかじゃなく、ミニマムな個人に対する感情に期待している、という点では、自分が考えていることにすごく近くて「そうそう!」と思ってしまった(笑)もしかしたら、「そんなのパトリオティズムじゃない!」とか批判をすることもできるのかもしれないけど、言葉の定義なんてどうでもよくて、「そういうこともあるよなあ」と思えることを積み重ねて言ってくれるから、鶴見さんが好きなんだと思う。[→blog@Yui 戦争が遺したもの]
戦争が遺したもの

戦争が遺したもの

*1:もともとは何で手に取ったんだっけな?AERAムックの『哲学がわかる』を読んだんだっけな?

*2:僕が大学4年生のときに、助教授として着任されたので、授業にもぐることもできました。「現代思想」の授業だったかな。