日々、想う。んで、記す。

プライドを持たない、節操を持たない、愛着を持たない、弱音を吐かない。

ポルトガルを予習する本(1)

司馬遼太郎街道をゆく (22) 南蛮のみち 1』を読了。出張で行くポルトガルのことをちょっといろいろ知りたいな、と思って。司馬遼太郎が「街道をゆく」で行っているところでもあるので、それで読もうか、と。「南蛮のみち」になっているけど、この本ではバスク地方/バスク人のことが中心。司馬さん、ずいぶんバスクがお気に入り。
でもその中に、いくらかポルトガルについての記述もあります。

ポルトガルには、もはやかつての栄華はない。褐色の大地に横たわって、かつて働きすぎた時代をときにおもいだしつつ、老優がしずかに休養しているような国である。(p.329)

ああ、わかるなあ。そんな感じします。大航海時代の舞台を見られる幸せ。リスボンは空港として利用するだけだし*1サグレスにも行かないけれど、カスカイス*2で海を見るのが楽しみなんだ。
あと、海外に行って人の笑顔にハッとすることがある。なんていうか笑顔の感情量がでかいというか。スペイン人、イタリア人、ブラジル人とか。アメリカ人にも多いかな。そんなことを思い出させてくれた文章があって、

「多分、大丈夫だとおもうけど」
と、コンチータ嬢が、横で貝料理の皿にフォークをつっこんでいた黒ひげの運転手アンヘル氏に賛否をもとめた。アンヘル氏は顔をあげ、むかいの席の長谷氏にむかって、
――よろこんで。
というふうに、濃い微笑を伴ったうなずきを送ってみせた。アンヘル氏のように、沁みとおるようなうなずき方を、われわれは映画のなかでもしばしば見る。しぐさと表情が文化の基本的な種類に属するとすれば、われわれのしぐさ・表情の文化より上質であることはたしかである。(p.401)

そうそう。「沁みとおるようなうなずき方」ってあるよなー、とか。

街道をゆく〈22〉南蛮のみち 1 (朝日文庫)

街道をゆく〈22〉南蛮のみち 1 (朝日文庫)

*1:到着は深夜、出発は早朝だから、ほとんど街には行かないだろうな。

*2:Cascais。今回の出張先。