文明とか文化とか

佐伯啓思『新「帝国」アメリカを解剖する』を読了。佐伯啓思さんは、すっごい気になる学者さんの一人。アメリカニズムとかの研究書が多いですけど、わかりやすく書いてあると思います。この本は、911以降のアメリカについての考察なのですが、ハンチントンの『文明の衝突』とフランシス・フクヤマの“歴史の終わり”を対比して述べていく論はわかりやすいです。
文明は地理的なものを超えて広がっていくもの。文化はその土地や言葉に根ざしたもの。この二つを取り違えたり、混同して考えるからいけないのだ、と。文明として誰もにそれを渡したいと思って広げていくと、どうしてもそれは文化にぶち当たるのだ、ということですね。
日本文化はありえても、日本文明はないよね。とか、分かったふりの文を書いてみる。
なんでアメリカってこうなのさ！？と思っていた点に、何だかしっかり説明が与えられていく感じかな。日本についてのこういう文化論って、いいのないのかな。ニッポニズム、みたいなの。

新「帝国」アメリカを解剖する (ちくま新書)