日々、想う。んで、記す。

プライドを持たない、節操を持たない、愛着を持たない、弱音を吐かない。

歴史の勉強では見えてこないこと

工藤美代子『昭和維新の朝 - 二・二六事件と軍師・齋藤瀏』を読了。二・二六事件をテーマにした作品。二・二六事件って、昭和天皇が激高されたそうですね。「自決するなら勝手にしろ」と。何だか、静かな人格者というイメージが強いので、意外です*1。僕らが昭和天皇を知ったのって、もう十分にお年を召していた頃ですからね。国を象徴として背負って生きていくことの責任を知っていた人なのではないかな、と考えます。
ところで、仕事で渋谷税務署によく行くのですが、その脇に二・二六事件慰霊碑があります。この場所が二・二六事件の首謀者である青年将校・民間人17名の処刑場、旧東京陸軍刑務所敷地跡だそうです。学校の日本史では本当にちょろっとだけしか出てこない二・二六事件。「この事件がもとで、陸軍の暴走を許すことになる」ってやつね。でも、もちろんその陰には一人ひとりの人生があったわけで、奥さんがいて、家族がいて、先生がいて、同僚がいて…。何だか切なくなります。
この本の中には、首謀者の一人は、結婚して直後に決起の日時を知らされ、そのまま決起に参加します。残された奥様のことを考えると、切ないです。こういう一人ひとりの感情を考えれば、政治なんてことはできないのだとも思うけど、でも、切ないでしょう。

昭和維新の朝(あした)―二・二六事件と軍師・齋藤瀏

昭和維新の朝(あした)―二・二六事件と軍師・齋藤瀏

*1:あとで、別のルートで知った:「昭和天皇が政府の意向を無視して独自の意向で強権発動したのは僅か3回のみ」らしいです。