日々、想う。んで、記す。

プライドを持たない、節操を持たない、愛着を持たない、弱音を吐かない。

権威に従ってしまうだろうと思う僕ら

クリストフ・ニック+ミシェル・エルチャニノフ『死のテレビ実験 人はそこまで服従するのか』を読了。
「服従の心理」の実験をテレビでやってみたもの。テレビ番組だから…と自分でそれなりに言い訳(excuse)をつけて、残忍なことをしてしまう、というのはありそうだ。司会者やプロデューサー(その場にはいないけど)の権威から抜け出して、「いやだ」と言うには、別の権威を登場させなければならないらしい。権威に一貫性が欠ければ、そこから自分で選択をできる状態に戻るのだそうだ。これって大事だよね。学校教育が唯一の権威になってしまってはならない理由。いろんなことを言う人に接しなければならない理由はここにあると思う。

「たかがテレビ」――そう思いながら、私たちは暴力的な番組を楽しみ、その暴力に慣れ、暴力を暴力と感じなくなってきている。今回、架空のクイズ番組『危険地帯 ゾーン・エクストレーム』の実験を行うことで、あらためてテレビは一つの権力であることがはっきりした。背景にあるのは、テレビへの無条件の信頼である。テレビは単なる娯楽を提供する道具ではなくなっている。大きな権力をもつシステムとして私たちの上に君臨している。それはまさに信者に対して絶対的な力を持つカルト宗教のようなものである。(p.293)

テレビはたくさんの人に何かを伝えるにはたしかにいいメディアだけど、ひとつの権力としてそれが働く可能性も十分あるし、「慣れ」ってのは本当に怖い。【→メモ:死のテレビ実験

死のテレビ実験---人はそこまで服従するのか

死のテレビ実験---人はそこまで服従するのか