小熊先生の日記
帰りの電車の中で小熊英二『インド日記 牛とコンピュータの国から』を読了。最後の方は夢中で読みました。すごい楽しかった。一箇所、すごいおもしろかったのは、太平洋戦争の敗戦と日本の物語の中での正義の描き方の歪みについての考察。
日本では、脳天気な勧善懲悪のストーリーは少ない、というもの。なぜなら、そうした描き方をすれば、太平洋戦争では日本が極悪だったから負けたことになってしまう。だから、日本では勧善懲悪のストーリーの枠の中でも、主人公は「正義のスローガン」を疑いつつ戦って、最後は敗北するか戦死する、というストーリーが多い、とのこと。そして、そうしたストーリーを一部知識人だけではなく、大衆や子ども向けの作品の中でも人気を得ているところが、日本の国民性に太平洋戦争が与えた大きな影響の一つだという。確かにそうかもなあ。何だかはっとしてしまった。
- 作者: 小熊英二
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2000/07
- メディア: 単行本
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