日々、想う。んで、記す。

プライドを持たない、節操を持たない、愛着を持たない、弱音を吐かない。

『論語』のイメージ、変わる

下村湖人『論語物語』を読了。この本、いいです。堅苦しかった『論語』のイメージがずいぶん変わりました。いわゆる漢文の教科書で出てきた「論語」を紹介した後で、その言葉が登場する背景エピソードを、挿話形式で書いてくれているのです。これ、イメージしやすい!『論語』っていうと、孔子の聖人君子ぶりがすばらしいイメージがありましたが、実は弟子たちの間での嫉妬とか劣等感とかそういうのがすごく描かれているのね。それもすごいおもしろいと思いました。えらく人間くさい読み物だな、と思ったり。[→blog@Yui 論語物語]
中に書かれている「自らを限る者」の一節とか、耳が痛いです。いい言葉だと思うので長いけどごっそりと引用。


「お前は、自分で自分の欠点を並べたてて、自分の気休めにするつもりなのか。そんなことをする隙があったら、なぜもっと苦しんでみないのじゃ。お前は、本来自分にその力がないということを弁解がましくいっているが、ほんとうに力があるかないかは、努力してみた上でなければわかるものではない。力のない者は中途で斃れる。斃れてはじめて力の足りなかったことが証明されるのじゃ。斃れもしないうちから、自分の力の足りないことを予定するのは、天に対する冒涜じゃ。なにが悪だといっても、まだ試してもみない自分の力を否定するほどの悪はない。それは生命そのものの否定を意味するからじゃ。しかし…」
と、孔子は少し声をおとして、
「お前は、まだ心からお前自身の力を否定しているのではない。お前はそんなことをいって、わしに弁解をするとともに、お前自身に弁解をしているのじゃ。それがいけない。それがお前の一番の欠点じゃ」

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論語物語 (講談社学術文庫 493)

論語物語 (講談社学術文庫 493)