メディアはただの道具の使い方、コンテンツはあるのか?
森博嗣『MORI LOG ACADEMY (10)』を読了。長い時間をかけてゆっくり読むのが好きなこのシリーズ。今回は、教育について触れられていた部分があった。要約すると、以下のような感じ。
学校で教えてもらえることは、「メディア」=道具の使い方。それを知っていれば、自分の自由のために、面白いことができる。楽しいことに遭える、という手堅い手法を伝授するのが教育である。道具の使い方自体は、そんなに面白いものでも楽しいものでもない。苦労をしてでも、自分に有益なものが得られるはずだ、という予感を与えることが大事だろう。
問題は、どんな面白さ、楽しさがあるのか、を伝えるのは学問の「コンテンツ」。これを知っている/得ている大人がそれほど多くはない。例えば、先生がなにか夢中になって研究しているとか、そういうコンテンツがあれば、子どもたちにはそれが伝わる。そんなコンテンツを大人や社会は持っているのだろうか?(p.299)
本当にそうだ。そんなにおもしろくもない道具の使い方を覚えよう、という気にさせるには、その先にめちゃめちゃおもしろい目標がある以外に手はないよね。それが受験の合格とかであるのは、やっぱり寂しいと思う。子どもには、「大人になるってこんなに楽しいんだぜ、いいだろ?」と笑顔で自慢していられるようでいたい。
あ、あと森先生の『どきどきフェノメノン』の文庫版の解説を多部未華子が書いているらしい。
『どきどきフェノメノン』文庫版の解説が、多部未華子氏。「そう、こういう解説が欲しかった」と感じる一文だった。(p.200)
森先生にこんなふうに言われるような解説、読んでみたい。本屋でチェックしよう。
MORI LOG ACADEMY 10 (モリログ・アカデミィ 10) (ダ・ヴィンチブックス)
- 作者: 森博嗣,羽海野チカ
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2008/06/18
- メディア: 文庫
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