日々、想う。んで、記す。

プライドを持たない、節操を持たない、愛着を持たない、弱音を吐かない。

土曜の朝読書

土曜の朝、ちょっと早めに目が覚めたので読書の時間に。
篠田節子・鴨志田孝一『交錯する文明―東地中海の真珠キプロスを読了。キプロス、名前しか知らなかったのだな、というのがわかる。正直、地中海の青い空の写真を見たいな、くらいな動機だったのだけど、ギリシャ系住民とトルコ系住民の件、南北分断の件、EU加盟の件、知らないこと多過ぎ…。
トルコ大地震、ギリシャ大地震での双方の援助活動がきっかけで政治が変わり始めた、というのは、いい話だ。

交錯する文明―東地中海の真珠キプロス

交錯する文明―東地中海の真珠キプロス


気分転換に、長男S氏が図書館から借りてきた板谷成雄・桜井寛『ようこそ世界の特急 (乗りものパノラマシリーズ)』を読了。この乗り物パノラマシリーズ、大好き!世界の特急が紹介されている。こうして見ると新幹線、かっこいいなぁ。巻末のおまけに出ているイギリスのスノウドン登山鉄道、トーマスそのものだ!
ようこそ世界の特急 (乗りものパノラマシリーズ)

ようこそ世界の特急 (乗りものパノラマシリーズ)


嵐山光三郎『新廃線紀行』を読了。廃線をめぐる旅。たくさんの廃線をまわっているのだけど、さすがに廃線はそうたくさん行ったことがないので、知らないところばかり…と思ったら、のと鉄道能登線、おお!この線乗ったことある!蛸島まで行って、軍艦島を見に行ったよ!あれはたしか、大学1年生の夏…。廃線は小樽でこないだ見たけれど、何だか好きだなぁ。時間の流れがわかって。いつか、めぐってみたい。廃線鉄、っていうの?
新廃線紀行

新廃線紀行


やたら旅やら紀行文をまとめて読んでいたのだけど、最後はリービ英雄『最後の国境への旅』を読了。リービ英雄が日本、中国、ドイツ…と旅をする。日本に定住して、万葉集を訳したりもしていて、越境者の一人として興味がある人。
ドイツを旅している途中、ナチズムの意味を想像しやすい数字に置き換えての描写が迫力ある。そう、こうして置き換えるとわかる。ホロコースト博物館を見た時の恐ろしさを、ありありと思い出せる…。

ある勢力が「日本人」をまるごと地上から消そうと、「日本人」の血を1/32以上にもっている人間を世界の隅々まで動物のように狩り、日本人の女をランプのかさにして、日本人の子供を石鹸にして、ついに「日本人」の3人に1人、つまり4000万人を殺した--そんなふうに想像してはじめて日本人は「ナチズム」の意味を理解することができるのかもしれない。(p.161-162)

もう一つ、多和田葉子さんのコメントが紹介されているのだけど、それもものすごくおもしろかった。

「私がここに来ておどろいたのは、手紙を書くときに、たとえば町の名前を書いて国の名前を書きますよね。で、町の名前の下にアンダーラインを引くんです。だからハンブルクにアンダーラインを引く。町の名前が重要で、ドイツというのは、あまり重要じゃない。(略)つまり、ヨーロッパでは、一つの町がどこの国に属してるかということは、ある意味で偶然の結果そうなっただけの話で、国家の所属は次々と歴史的に変わりうるんだから」(p.167)

こういうリアルな感想、暮らしてこそのことかもなぁ。[→メモ:最後の国境への旅]

最後の国境への旅

最後の国境への旅