日々、想う。んで、記す。

プライドを持たない、節操を持たない、愛着を持たない、弱音を吐かない。

素敵な文章を書く旅人に出会えた

中村安希『インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日』を読了。何だか表紙の写真に惹かれてしまって、借りてきた本。けっこう紀行物を読みあさっていた頃があったのだけど、それ以後に出てきた書き手さんかな。僕より若い。でも、世界をほぼ一周してきて、感じていることとかが何だか自分に近い感じで文章にするな、と。
例えば、いわゆる途上国に行って感じることとか。誰にも施せるわけじゃないし、個人で何かやった所で何か変えられるのか?とか考えちゃってグルグルしちゃうことがあったけど、言葉にしたらこんな感じなのかも、と思った文章が↓

私は自分の人生を、楽しく生きる権利がある。ある程度快適な生活と、食べたい食事ややりたいことを、私自身の基準の中で可能な範囲で追求しながら、好転していく未来の姿を想像する権利がある。悲観的に落ち込むことほど、無意味なものはこの世にない。そして、あの男性やコックだって、同じように楽しむべきだ。もちろん、彼らが回転寿司やプレゼントを追う必要はない。けれど彼らの基準の中で、彼らにとって大切なものを彼らなりの方法で、プライドを持って追求し、獲得し、夢を持って生きる権利が彼らにだって等しくある。楽しく生きるということを、絶対に、誰一人として、妥協してはいけない(p.223)

旅の最後の方、アフリカでアメリカとの生活の違いを振り返るところとかも↓

その通りだよ。先進国の生活は本当に大変なものだった。アメリカでは息をするだけで、どんどんお金が目減りした。食費や家賃や税金を僕はたくさん払ったし、働かなければ明日にでも、家も食事も失って路頭に迷うことになる。とてもシビアな責任社会だ。先進国は個人の社会だ。アフリカのような『みんなの家、みんなのお金、みんなのご飯』はなかったからね(p.234)

素敵な文章を書く人に出会えたな、と思います。続けて読んでいきたい人です。

インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日

インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日