日々、想う。んで、記す。

プライドを持たない、節操を持たない、愛着を持たない、弱音を吐かない。

実践知はどう学べるかを考えたい

金井壽宏・楠見孝『実践知 -- エキスパートの知性』を読了。実践知は、学校知との対比として使われている言葉です。学校で学ぶ知だけでは足りないんじゃないか?っていう問題意識があるので、どうすることができるのかな?と気になって読んだ。とてもおもしろかったな。

実践知を獲得するには、経験から学習する態度が重要。そのための要因は主に4つに分けることができる(p.46-47)

  1. 挑戦性
    • 新しい経験に対して開かれた心、成長しようとする能力や達成動機、ポジティブな学習に向かう冒険心。それは、挑戦的(ストレッチ)課題、つまり能力を少しだけ越えた課題へのチャレンジという行動に現れる。
  2. 柔軟性
    • 環境への適応能力であり、ほかの人の意見や批判に耳を傾けて、新しい考え方や視点を取り入れたり、相手に応じた柔軟な対応をすること、誤りから学習することも含まれる。
  3. 状況への注意とフィードバックの活用
    • 職場の環境を理解するために状況に注意を向けて、フィードバックを探索するというモニタリング活動をさす。状況への注意(situation awareness)は、初心者は注意容量や作業記憶の限界のため、負荷が大きく、その注意は不完全でエラーを伴う。さらに、初心者は情報処理のコントロール方略が乏しいため、情報収集や重要な情報の検出が劣り、経験から適切な学習ができないことになる。
  4. 類推
    • 新しい状況の問題解決において、過去の類似経験を探索し利用する側面と、部下や同僚に類似した状況の過去経験を伝達する側面がある。

なるほどなるほど。こうした要因を内包したカリキュラム、というのはアイデアとしておもしろそう。学校の教室では確かにこのあたりは難しかろうな、と。
それと、省察(reflection)がとても大切だ、ということが書かれています。省察も、「振り返り的省察(retrospective reflection)」と「見通し的省察(anticipatory reflection)」と、両者の中間である「行為の中での省察(reflection in action)」が説明されていたりする。この省察についても、教室ではあまりされていないよなあ。他にも勉強になるポイント多し。で、メモ。【→メモ:実践知

実践知 -- エキスパートの知性

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