黒溝台会戦と立見尚文
司馬遼太郎『坂の上の雲 (6)』を読了。寒い季節に読むと、満州の寒さがよりリアルに感じられる。頭が下がります。「冬に大規模作戦なんてしてこないだろう」と思っていた日本軍司令部と、冬だからこそ来るロシア軍との黒溝台会戦。
この会戦に第八師団長として参加していた立見尚文がものすごい。師団全部での夜襲でロシア軍を撤退させます。彼は薩長閥でない為に、戦後桧舞台に上がることがなかったようですが、彼の作戦を指揮下の兵達は忘れず、東北の農村で寒い冬の日に囲炉裏で語られることはこのロシア軍冬季攻勢における激戦の凄まじさと、「立見が師団長であったから、日本軍は勝てた」と古参兵たちは語り継いだということです。
桑名藩として戊辰戦争を戦い、奇兵隊を敗走させた軍人が、薩長藩閥政府を救う。薩摩の大山巌と長州の児玉源太郎の司令部を救う、ということになったってことだよね。
たった110年前の話。
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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