実験も研究も知らずに大学生になる
森博嗣『MORI LOG ACADEMY (12)』を読了。MLAもあと1冊、日記にしてあと3ヶ月で終了です。
いつも、いろいろなところでヒントみたいなものを感じることが多いのですが、今回は教育についてのコメントがいくつかされていたので、その部分をメモ。
まず、算数の最も重要な効用として、森先生が挙げていたのが、「抽象」し、「仮定」することで、「概略」を「計算」できるということ。なるほど、たしかにこれは大切。ただ計算だけを教えるから、こういうことができなくなるんだよね(僕が、そうだ)。
もうひとつ、理科というか科学に関する教育方法についてのコメント。初等中等教育関係者にはなかなか耳が痛いのでは?
たしかに、授業の実験の大半はそのとおり(注:「こうなるべき答があるものを実際に自分でやってみること」)であり、「こうなるべき」結果があらかじめわかっている。答が存在するのだ。しかし、卒論や修論で行う実験には、模範解答はない。そもそも、「どうなるかわからないから実際に試してみること」が実験なのである。ようするに、彼らが持っている認識は「実験」ではなく「体験」にすぎない。
大学生の卒論になって、つまり論文を書く段階になって初めて「実験」になる。これは、図書館で本を調べることが「研究」だと誤解しているのと同じだ。日本の子供たちは皆、「実験」も「研究」も知らずに大学生になるのである。(p.310)
MORI LOG ACADEMY 12 (モリログ・アカデミィ 12) (ダ・ヴィンチブックス)
- 作者: 森博嗣,羽海野チカ
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2008/12/20
- メディア: 文庫
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