始める奴と終わらせる奴がいちばん偉い
火曜日、童門冬二『小説 小栗上野介』を読了。幕末の幕臣、勝海舟のライバルでもあった小栗上野介が主人公の小説。勝海舟とは違う意味で、日本という国のために幕府をどうするかを考えていた人。結果、彼は刑死するわけですが、彼が考えていたことのほとんど(廃藩置県とか、富国強兵政策とか)は、明治政府が引き継いでやっていくことになる。大隈重信が後年、「明治政府の近代化政策は、小栗忠順(上野介)の模倣にすぎない」と発言したほどらしい。僕らの年代だと、徳川埋蔵金でピンと来る人も多いかもね。
もちろん、最初に何かを始めてそれを継続させる人はえらいと思う。でも、それと同じくらい、幕引きをする人、終わらせる人もえらいと思う。引き際、散り際、土壇場のときにどんな働きができるかってのに、人間の価値はあるような気がするね。殿軍を務めるのがいちばん大変ってことですね。
ずいぶん読んでから気づいたけど、「上野介」っていう官位は、忠臣蔵でおなじみ吉良上野介と同じだね。
- 作者: 童門冬二
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2002/12/13
- メディア: 単行本
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