日々、想う。んで、記す。

プライドを持たない、節操を持たない、愛着を持たない、弱音を吐かない。

新しい、日本国憲法草案

東浩紀・編集『日本2.0 思想地図β vol.3』を読了。思想地図βのチームで、ディスカッションしながら創った日本の新憲法草案。読みがいがあります。辞書かってくらい分厚いし…。草案全体は、二元性の原理で貫かれています。天皇と総理、国民と住民、国と基礎自治体、国民院と住民院を設定してあったりとか。専門家を集めてディスカッションしながら草案を描いていく過程は楽しかったろうなあ。以下、東浩紀さんの言葉。

ぼくがこの草案の創作にあたり、重要な原理として表現したいと考えたのは、ひとことで言えば、フローとしての日本とストックとしての日本の両立という理念である。ぼくたちはいま、ネットワークが世界全体を覆い、ヒトとカネとモノの奔流がかつてない速度で国境を超える時代に生きている。国民がそれを歓迎するか否かにかかわらず、国内に住む外国人はこれからますます増えるだろうし、またその逆に国外で生きる日本人もますます増えていくことだろう。日本文化は日本だけのものではなくなるだろうし、逆に国内にもさまざまな文化が流れ込むことになるだろう。つまりは、日本なるもののウチとソトを決める境界はますます曖昧になっていくはずなのだが、にもかかわらず、そこでもぼくたちが(日本という国家が解体したり消滅したりすると前提するのでないかぎり)、意識的にせよ無意識的にせよ、日本人としてなにかしらの伝統と遺産を引き継ぎ、これから生まれる子どもたちに譲り渡していくこともまたまちがいない。日本という国家の制度的な境界はこれから溶解せざるをえないだろうし、また特定の立場からはそれは好ましい傾向と考えられるだろうが、現実的に考えたとき、日本列島というこの土地に蓄積された膨大な記憶、言語や文化や習俗の独自性がそうたやすく消え去るとも考えられない。
流れる日本と留まる日本。解体する日本と解体に抵抗する日本。市場と遺産。ぼくはこの草案で、その二面を止揚する制度を提案しようと考えた。天皇と総理、国民と住民、国と基礎自治体、国民院と住民院、以下の草案全体を貫く二元性の原理は、そこから導かれている。(p.104-105)

国民と住民を書き分けているのは、外国籍の人たちを「住民」に入れるため。内閣総理大臣はなし。ただの「総理」になって、内閣は「政議院」。構成員は「政議」なので、明治新政府太政官と参議の関係みたいだな。
前文で、日本はこんな国になる、というのも謳われています。まさに、と思うよ。

  • 日本は公正な国でなければならない。
  • 日本は平和な国でなければならない。
  • 日本は繁栄する国でなければならない。
  • 日本は開かれた国でなければならない。

これからますます高齢化が進んでいくと、総人口の中で老年人口が占める割合が5割を超えるでしょう?そうすると、若者への投資、将来への投資というのは出てきにくくなるのではと思うし、民主主義の形も、まだまだ考えていかなきゃならないと思う。ほんと、もっとネットを使ってほしい。ネットを通じて、集合的意見をぶつけさせてほしいと思うし、政治家がどんなことを考えているのかをもっと見たい。アーカイブされてて、自由に見られるのならば見たい!という人はけっこう多いと思うのだけどなあ。そこをデジタルの技術を使って、ネットを使って、可視化させてほしいと思う。
何はともあれ、とっても刺激的な読書になりました。おすすめ。【→メモ:日本2.0

日本2.0 思想地図β vol.3

日本2.0 思想地図β vol.3