日々、想う。んで、記す。

プライドを持たない、節操を持たない、愛着を持たない、弱音を吐かない。

『ルールズ・オブ・プレイ』のレンズで、教育を見てみたい

 東大でLudixLabの公開研究会「意味ある遊び」を生み出すルールに参加してきました。ケイティ・サレン『ルールズ・オブ・プレイを読み込む、というもので、翻訳者である山本貴光さんが講師に来てくださいました。とってもおもしろかった。しかし、『ルールズ・オブ・プレイ』は、我が家で絶賛積読中、しかも上巻だけ…という。準備が終わった後、直前までパラパラとめくってみたりするのは、一夜漬けそのものです…w

ルールズ・オブ・プレイ(上) ゲームデザインの基礎

ルールズ・オブ・プレイ(上) ゲームデザインの基礎

ルールズ・オブ・プレイ(下)

ルールズ・オブ・プレイ(下)

 で、講演はめちゃめちゃおもしろかった。いやー、古今東西、いろんなところに話が飛ぶ。でも、それがきっちり回収されていく。楽しすぎる。

 途中で言われていた「遊びの意義は世界を異化することだ」という話が。

おそらくは遊びが持ちうる最も奥深い意味とは、変化をもたらす力にある。変化をもたらす遊び超越する瞬間であり、そこでは人が「そういうものだ」と当然視していた構造自体が、突如プレイヤーとしての役割を振られることになる。

 という話が出ていた。例えば、チェスで遊び続けた結果、プレイヤーの考える能力が変化したり、人間関係が変化したり世界の見え方が変化するかもしれない、ということ。異化は「見え方が変わる体験」ということ。そういう意味では、映画などのエンターテイメントも、世界を異化してくれるもの。でも、ゲームがそれとは違うのは、ゲームの中で「自分が行動すること」で世界を異化するということが大きい意味を持つ。これ自体が、学びに大きくつながっていくことなんじゃないかなあ、と思うのです。このあたり、知的興奮度マックスでした…。

 僕はいまやっている教育の仕事で、「人の考え方」を変えたいと思っている。で、そのためには「考え方を変えなさい」と直接働きかけるのではなくて、ゲームであるとかエンターテイメントなどを入口にして、気づくと「変わってた!=異化してた!」ってしたいんだなあ、と。
 この日の講師の山本さんは、「このゲームで遊んだ人たちを変えてやろう」と思っているそうだ。いい話を聞きました。

 あと、最後にゲーム分析のコーナーもありました。まったく知らないゲームが2つ紹介されました。「Continuity」「99 Bricks」
 Continuityは、シンプルだけどおもしろいなあ。なんだか、動かすことそれ自体が気持ちいいよ。解けるとうれしいし。これ、子どももできそうだなあ。ちょっとやらせてみようかなあ。
 99 Bricksは、テトリスとまったく同じスタイルなのに、ルールが全然違うゲーム。物理演算を使ってあるゲーム。テトリス?と思ってやってみると、全然違うんじゃん!っていう驚きが本当におもしろい。

 いやー、これがどんなふうにプレイヤーに異化をもたらすのか、考えたら楽しそう。あと、ゲームっていう仕組み自体をどう見るのか?っていうところがポイントだと思うので、講演が終わった後に思ったのは、学校とか教育っていう仕組みを、この『ルールズ・オブ・プレイ』で書かれている基準(山本さんは「レンズ」という言葉を使われてました)を使って見てみたら、どんなふうになるのか、どんなふうに変えていけるかな、と思うのか。そんなのを年末までの時間をかけて考えてみたいな、と思いました。

 いやー、とっても勉強になりました。夜、興奮しすぎて少し寝つけなかったくらいw